2005年06月06日

墨閑話 其乃伍

濃墨、淡墨。

書をする方々が何かとよく使う言葉であります。書に普段馴染みのない方々にとっては、墨色が濃いか淡いかという程度にしか把握しきれない言葉ではないでせうか。

お仏蘭西の方々に作品を御高覧頂いた際に、「淡墨」の作品を不思議がっておりました。淡墨作品は濃墨作品の滲みとは、少し趣きが異なります。筆跡の芯の部分とその周辺の滲みの墨色が異なり、立体的な文字となるのです。

お仏蘭西の方で滲みの部分を、後から塗ったのかと詰め寄った方もおります。

かなり奇抜な発想ダと、反ってコチラも吃驚。

コノ筆跡と滲みの輪郭が美しく表現できる墨と云ふものは、まさにマジックではないかと常々思ふのであります。確かに初めて見る淡墨で書かれた文字を見て(彼らにとっては繪のひとつでせうが)、驚くのも無理はないコトでせう。

さて、美しい淡墨を得るための墨の磨り方とは、如何にすべきなのでせう。

是は、恐らくどの墨を使っているか、どの硯を使っているか、はたまた、様々な条件下のもとで異なってくることでせうから、必ずしもこうしなければよりよい淡墨は得られない、と云ふわけではないでせう。

よく云われるコトですが、まづ、かなり濃いめにトロトロになるくらい墨を磨り、其れを薄めて使用すると、筆跡と滲みの立体感が出やすいやふです。当方も同様にしてオリマス。

膠分が適切となった良質の墨を使用できれば、この最適な淡墨は作りやすいのでせうが、この最適な条件を持っている墨はやはりある程度高価なのですねイ。

当方はものによっては、磨った墨を数日寝かせることが多いです。是によって、膠の力が弱くなり、滲みが拡がりやすくなり、筆跡の輪郭がくっきり表れやすくなります。いわゆる宿墨と云ふことになります。墨を磨った瞬間から、膠の力は弱くなり、煤の凝集が始まるのです。但し、墨の持つ寿命を水の中で終わらせ、かえって墨色を濁らせてしまうこともありますので、墨は磨ったらすぐに使用すべき、とする場合もあります。

この淡墨の発色も、使用する紙、更に湿度等にも影響します。おまけに同じ墨磨液を使用しても、運筆によって、墨の発色が異なるのですねイ。コレと云ふマニュアルがないのが、墨の世界なのかもしれませぬ。摩訶不思議な墨の神秘でせうなー。


58e7bd1f.gif
<人気プログランキング>でざゐん、あーとぶろぐてんこ盛り。
壱萬あくせす突破、厚く感謝。クリツクも宜しく御願ひ致し升。


posted by ろゆふ at 01:36| Comment(4) | TrackBack(0) | 文房四宝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
潤いのある純黒を出すにはどうしたらいいでしょうか?
Posted by 梧九 at 2005年06月19日 00:23
>梧九さま

嗚呼、御無沙汰致してオリマス。
お越し下さり、感謝。

サテ、潤いのある純黒ですか。
なかなかに難しいご質問ではないかと存じます。
墨の専門家の方でしたら、恐らく的確なお答えを出されるのでせうが、当方の場合、自分の浅い経験の中で感じていたこととなりますが、ご参考までに。

純黒を引き出すには、若干若めの墨が適しているのではないかと思います。膠の成分が落ち着き過ぎているものですと、やはり渋めの色になると思います。
かなり濃いめに磨らないと、純黒とはならないところですが、濃墨になってしまい、艶は出るでせうが、潤いの点では難しくなるのではないかと思います。
伸びの佳い墨磨液がより潤いのある線を引き出しやすいと思いますので、水がポイントになるのではないかと思います。できる限り伸びる水。水道水よりは、山の湧き水のやふなものだと、かなり違いますよね、、より軟水のほうが佳いと思います。とはいっても、現実的には難しいのでせうが。

磨り方はやはり粒子を細かくする為にゆっくりの丁寧に磨るほうが、佳いのでは? 粒子の細かい墨磨液であれば、濃いめの墨であってもほのかに滲んだ輪郭も美しいと思います。その滲みが潤いをも引き出すやふにも感じます。

また、恐らく、、用意した墨磨液の状態と筆圧のバランスによっても、変わってくるやふにも、、思います。書いてみないと分からないのでせうね:笑

的確なお答えにはなっていないかもしれません、御容赦を。
Posted by ろゆふ at 2005年06月19日 01:13
ありがとうございます。やはり、濃い黒ということと、潤いがあるというのは矛盾することなのでしょうかね。
今、某展覧会の作品を書いています。古梅園の村上三島先生名入れの高い墨を使ってみました。やはり高いだけあって、粒子が細かいようで、おりが非常に早く、どんどん減るのでびくびくしながら使っています。やはり粒子が細かい方が濃いときにも伸びがよく、また線の輪郭もすっきりでるのではと、思っています。
ただ、磨り方や磨った後の磨墨液の変化が知識がなく、ろゆふさんのブログで勉強させて頂いておりますよ。
今後も楽しみにしています。
Posted by 梧九 at 2005年06月19日 23:39
>梧九さま

コメント、有難う御座います。
古梅園の村上三島先生名入れの墨、、高さふですね、、
やはりお値段がする墨はしっかりとした職人さんが作っていらっしゃることから、磨り心地も全く違いますね。墨は好いものを一度使うと他が使えなくなってしまいます:笑

けふ、丁度伊東屋で墨運堂さんの方と御話することが出来、「潤いの純黒」について、伺ってみましたところ、やはり微妙な質問ですね、と仰っておられました。

やはり松煙墨が粒子の点では細かいので、濃く磨れば、潤いを感じさせる純黒が得られるのではとも仰っておりました。煤を採るにも、どの辺りに着いた煤かによっても、墨の性質、色は違ってくるやふですので、墨の奥深さ、計り知れません。
それにしても、文房四宝を知るということの大切さを益々感じるこの頃です。

Posted by ろゆふ at 2005年06月20日 00:54
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/4158389

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。